離婚をするには、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の方法があり、それぞれに長所と短所があります。
日本で離婚をするためには、大きく分けて、
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
という3つの手続があります。
1 協議離婚
夫婦は、その協議で、離婚をすることができます(民法763条)。これは、夫婦で話し合って、互いに離婚することに同意すれば、離婚をすることができるという意味です。話し合いの結果、離婚をすることが決まったら、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の効力が生じます(民法764条、民法739条1項、戸籍法76条)。これが、「離婚届」です。「離婚届」には、民法上、当事者2名と成年の証人2名以上の署名が必要で(民法764条、739条2項)、戸籍法の定めにより、届出人の捺印が必要です(戸籍法29条)。
2 調停離婚
夫婦で話し合いをしても、離婚の合意ができない場合があります。どちらか一方が離婚そのものに反対している場合、子どもや財産の問題で折り合いがつかない場合、感情的な対立が激しくて当事者間で協議ができない場合などは、一般に協議離婚をするのが難しいケースといえるでしょう。このようなときに、家庭裁判所の調停委員会に間に入ってもらい、夫婦関係調整調停(離婚調停)をすることが考えられます。
家庭裁判所の調停委員会を間に入れて話し合いをすることで、争点が整理され、当事者同士で話し合うよりもスムーズに合意ができることがあります。お互いが顔を合わせることなく話し合いができるのも、調停の大きな特徴です。
ただし、調停委員会は、あくまでも中立の第三者として夫婦の問題を調整するのが仕事ですので、必ずしも、あなたの最善の利益のためにアドバイスをしてくれるわけではありません。また、調停委員に法律問題や家庭問題の専門家が選ばれているとは限らず、調停委員会の働きかけによって、あなたの法律上の権利が守られるという保証もありません。当事者の法的利益を守るためには、当事者自身で注意しなければなりませんので、その点は注意が必要です。
3 裁判離婚
協議離婚と調停離婚では、どちらかが離婚に納得しなければ、離婚をすることはできません。これに対して、裁判離婚では、どちらかが離婚に反対していても、一方的に離婚を請求することができます。
ただし、裁判離婚は、民法770条1項が定める
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
のいずれかに該当する場合でなければ、認められません。とくに5号事由については、婚姻生活の諸事情を総合的に考慮して判断をすることになります。
別居の事実や夫婦間のトラブル、DVや価値観の相違などが積極事由の一例として挙げられます。
反対に、同居の事実や夫婦揃っての旅行などは、消極事由となるでしょう。
1~5に該当する場合でも、不貞行為や虐待をした有責配偶者からの離婚請求は、一定の条件の下でしか認められません(→「有責配偶者からの離婚請求が認められる条件」
手続上の制約としては、夫婦関係調整の調停を申し立てた後でなければ、離婚訴訟を提起することができません(家事事件手続法257条)。これを、「調停前置」と呼んでいます。
弁護士 馬場陽(愛知県弁護士会所属)
※ 2015年4月5日現在の法令に基づいて解説しています。
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